亡くなった親の服は、すべて残す必要も、急いですべて処分する必要もありません。
親がいつも着ていたカーディガン、外出するときに選んでいた洋服、大切にしまっていた着物。タンスを開けると、生前の姿が思い浮かび、なかなか片付けられないことがあります。
そんなときは、「形見として残す」「売る」「譲る・寄付する」「処分する」「いったん保留する」の5つに分けて考えてみてください。
捨てられない服は、その場で結論を出さなくても構いません。一方、ブランド服や着物には買取を検討できるものがあり、一般的な衣類は自治体の資源回収などを利用できる場合もあります。
大切なのは、服を何着減らせたかではなく、家族が納得できる方法で少しずつ片付けることです。
- 亡くなった親の服を残す・売る・処分する判断方法
- 思い出の服を捨てられないときの対処法
- 着物やブランド服の買取と一般衣類の処分方法
- 衣類の供養や家族との話し合いで気を付けること
亡くなった親の服は5つに分ける
親の服を片付けるとき、最初から「捨てるか、残すか」の二択にすると判断が難しくなります。
無理なく進めるには、服の状態や思い入れに合わせて行き先を分ける方法がおすすめです。
衣類の行き先を決める5つの方法
亡くなった親の衣類には、普段着から礼服、着物、高価なコートまでさまざまなものがあります。すべてを同じ基準で判断する必要はありません。
| 方法 | 向いている衣類 | 次にすること |
|---|---|---|
| 形見として残す | 思い出のある服、愛用品 | 保管場所を決める |
| 買取査定に出す | 着物、ブランド服、高級衣類 | 査定対象か確認する |
| 譲る・寄付する | 状態が良く、再利用できる服 | 受け入れ先を探す |
| 自治体のルールで処分 | 傷みがあり、再利用が難しい服 | 分別方法を確認する |
| いったん保留する | 手放すか決められない服 | 別の箱に保管する |
例えば、母親が毎日着ていたセーターは形見に、ほとんど着ていないブランドコートは査定に、古くなった肌着は自治体のルールに従って処分する、といった分け方です。
きれいな服でも、必ず売却する必要はありません。家族が着たいと思うなら譲ってもよいですし、まだ判断できないなら保留でも大丈夫。
まずは行き先を仮決めするだけで十分です。実際に手放すのは、家族の意向を確認してからにしましょう。
仕分けを始める前に相続を確認する
親の服を整理するときは、誰が処分を判断できるのかも確認しておきたいところです。
衣類も故人が所有していた物です。特に高価な着物やブランド服などは、財産的価値がある可能性があります。
相続人が複数いる場合、一人の判断で高価な品物を売却したり、家族が残したい服を処分したりすると、後で意見が対立することも考えられます。
また、相続放棄を検討している場合は、衣類の売却や大量処分を始める前に確認が必要です。
民法921条では、相続財産を処分した場合、一定の例外を除いて単純承認とみなされることがあります。服を一着処分しただけで必ず相続放棄できなくなるわけではありませんが、品物の価値や処分の事情によって判断が変わるためです。
相続放棄を考えている場合
相続放棄には、原則として自分のために相続が始まったことを知ったときから3か月以内という申述期間があります。親に借金がある可能性などから放棄を検討している場合は、売却・廃棄の可否を弁護士などに相談してください。
処分前にポケットと収納を確認する
服の仕分けでは、ポケットの中身も忘れずに確認しましょう。
上着の内ポケットやズボンのポケットから、現金、鍵、メモ、領収書などが見つかる可能性があります。冠婚葬祭用のバッグやコートには、普段使わない品物が入っていることも。
また、衣類の間に封筒や重要書類を挟んで保管している場合もあります。タンスの引き出しを丸ごと捨てるのではなく、中身を一段ずつ確認する方が安心です。
現金や貴金属が見つかった場合は、自分の判断で使わず、ほかの相続人とも情報を共有してください。
詳しい確認方法は、遺品整理で現金・貴金属・通帳が出てきたときの対処法でも紹介しています。
思い出のある服は形見として残す
親の服は、金銭的な価値だけでは判断できません。
何年も着ていた服や家族との思い出がある服は、形見として残す選択肢を優先してよいでしょう。
何着残すかは保管場所で考える
形見として残す服に、何着までという決まりはありません。
ただし、親の服をすべて自宅へ持ち帰ると、収納場所が足りなくなることがあります。無理なく保管できる量を考えながら選ぶのが現実的です。
例えば、母親がよく着ていたカーディガン、父親が外出時に愛用していたジャケット、家族行事で着ていた洋服など。思い出が具体的に浮かぶ服から見ていくと選びやすくなります。
収納スペースに余裕がないなら、最初は小さな収納箱一つ分を目安にしてもよいでしょう。ただし、これは片付けのための提案であって、守るべき基準ではありません。
今は選びきれない場合、数を決めずに保留する方法もあります。
親の服を自分で着てもよい
親の服を形見として残すなら、自分で着るという方法もあります。
サイズが合うカーディガンやコート、マフラーなどは、普段の生活で使い続けることができます。思い出の服をタンスにしまうだけでなく、暮らしの中で大切にする形です。
家族で分け合うこともできます。父親のネクタイを息子が使ったり、母親のストールを娘が受け継いだりするのも自然な形見分けでしょう。
ただ、形見は使わなければならないものではありません。着ることに抵抗があるなら、保管するだけでも構いません。
なお、長く収納されていた衣類は、着用前にカビや傷みを確認してください。洗濯表示に従って手入れすることも大切です。
写真に残してから手放す方法もある
服そのものを残すのが難しい場合は、写真に撮って記録する方法があります。
全体が分かる写真に加え、特徴的な柄や刺繍、ボタンなどを撮っておくと、後から思い出しやすくなります。親がその服を着ている生前の写真と一緒に保存するのもよい方法です。
アルバムや写真フォルダーを作り、「旅行のときに着ていた服」「父が気に入っていた上着」などの短い言葉を添えてもよいでしょう。
ただし、写真を撮ったからといって、気持ちが切り替わるとは限りません。
実物を手元に置いておきたいなら、その思いを優先して大丈夫。写真は処分するための義務ではなく、思い出を残す選択肢の一つです。
親の服を捨てられないときは?
亡くなった親の服を見ると、生前の姿が思い浮かんで手が止まる。そんな場合は、気持ちの問題と片付けの作業を分けて考えてみましょう。
今日、すべての服の行き先を決める必要はありません。
迷う服は保留箱に入れておく
残すか手放すか決められない服には、専用の「保留箱」を用意すると便利です。
保留箱に入れるのは、見るとつらくなる服、捨てたら後悔しそうな服、家族に確認したい服など。ほかの衣類と混ざらないようにしておきます。
箱には中身が分かるラベルを付け、湿気の少ない場所に保管してください。長期間しまう場合は、防虫やカビにも注意したいところです。
保留した服を見直す時期は、例えば3か月後や半年後など、自分の予定に合わせて決められます。これは法律上の期限ではありません。
見直しても決められなければ、再び保留して構いません。
◆親のあとさき編集部のワンポイントアドバイス
片付けが進まないときは、思い出のある服ではなく、判断しやすい衣類から始める方法があります。傷みのある普段着などを先に分け、形見は最後に考える。順番を変えるだけで、取りかかりやすくなることがあります。
捨てることと忘れることは別に考える
親の服を処分することに、申し訳なさを感じる人もいるでしょう。
「まだ着られるのに捨てていいのか」「親が大切にしていたのに手放していいのか」。こうした迷いは、服の状態だけでは答えを出せません。
ただ、服を手放すことと、親との思い出がなくなることは別です。
家族との写真や会話、親から教わったことは、服を何着残すかだけで決まるものではありません。
一方で、服が手元にあることで気持ちが落ち着くなら、無理に処分する理由もないでしょう。
手放してもよいし、残してもよい。自分や家族が納得できる選び方をすることが大切です。
片付けに期限がある場合は?
実家が持ち家で、すぐに売却・解体する予定がなければ、衣類を時間をかけて見直せる場合があります。
しかし、賃貸住宅の退去や実家の売却、施設の居室の明け渡しなど、片付けの期限が決まっていることもあるでしょう。
その場合は、すべての衣類について気持ちの区切りが付くまで待つのが難しいかもしれません。
まず、処分する服と残す可能性がある服を分け、保留品だけを別の場所へ移せるか検討してください。
親の服をいったん自宅や親族の家に移しておけば、住居の明け渡しを進めながら、衣類については後日考えられます。
ただし、相続放棄を検討している場合は、保管場所の移動や管理方法も含めて事前に専門家へ確認する方が安全です。
着物やブランド服は売れる?
親の服の中には、買取査定を検討できるものもあります。
ただし、古い服なら何でも売れるわけではありません。衣類の種類、状態、ブランド、需要、業者の取扱条件によって結果が変わります。
着物は状態や種類で査定額が変わる
母親や祖母が残した着物は、売却を検討する価値がある品物の一つです。
訪問着、振袖、留袖、紬など、着物にはさまざまな種類があります。また、作家物や伝統工芸品などは、一般的な着物とは異なる評価を受ける可能性があります。
一方、シミ、カビ、変色、保管状態、寸法などによっては査定額が付かない場合もあります。古い着物だから価値がある、正絹だから高く売れる、と一律には判断できません。
着物の証紙や購入時の付属品が残っている場合は、一緒に確認してもらうとよいでしょう。
着物を売るか迷っているなら、着物買取サービスの査定対象や条件を比較する方法があります。
ただし、査定を受けても必ず売却する必要はありません。提示された価格に納得できなければ、手元に残す選択もあります。
ブランド服も売れない場合がある
親が大切にしていたブランドのコートやジャケット、状態の良い高級衣類なども、買取査定を検討できます。
ただし、ブランド名が付いていれば必ず売れるわけではありません。
衣類は流行やサイズ、季節、使用感などの影響を受けます。購入時に高額だった服でも、中古市場での需要が低ければ査定額が付かないことがあります。
また、ブランド品買取を行う事業者でも、バッグや時計は扱っている一方、洋服には取扱条件を設けている場合があります。
買取を検討する際は、衣類そのものが査定対象かどうかを先に確認しましょう。
なお、一般的な普段着を大量に持ち込んでも、買取対象外となることがあります。すべての服を査定に出すより、売却を検討できるものを先に選ぶ方が手間を抑えやすくなります。
買取サービスは何を比較する?
着物やブランド服を売る場合は、査定額だけでなく、取扱品目と利用条件も確認しましょう。
着物買取を扱うサービスとしては、福ちゃんやバイセルなどがあります。両社の公式案内では、着物やブランド品などの買取、出張・店舗・宅配による査定方法が紹介されています。
ただし、実際に買い取れる衣類や利用可能な方法は、品物や地域、受付時点の条件によって異なります。
査定依頼前に確認したいのは、次の3点です。
- 売りたい衣類が買取対象に含まれるか
- 査定料・出張料・キャンセル時の費用はどうなるか
- 売却しなかった品物をどう返却してもらえるか
とくに宅配買取では、査定不成立時の返送料なども確認しておきたいところです。
査定額の根拠を尋ねられるか、複数点の明細を確認できるかも判断材料になります。高額になりそうな品物なら、複数の事業者に査定してもらう方法もあるでしょう。
なお、買取サービスの利用条件や費用は変更されることがあります。申し込む前に公式サイトで最新の買取条件を確認することをおすすめします。
親の服を勝手に売ってもよい?
売却できそうな服を見つけても、ほかの相続人がいる場合は、独断で手放さない方がよいでしょう。
例えば、母親の着物を娘が売りたいと思っていても、別の兄弟が形見として残したいと考えているかもしれません。
価格が付く服だけでなく、家族にとって思い出のある衣類も、処分前に意向を確認することをおすすめします。
また、売却代金の扱いも確認が必要です。故人の財産に当たる衣類を売った場合、その代金を一人が自由に使ってよいとは限りません。
売却する品物と金額を記録しておけば、後から家族で確認しやすくなります。
相続財産の分け方について意見が対立している場合は、衣類の処分を進める前に弁護士などへ相談してください。
普段着や一般的な衣類はどうする?
売却が難しい服でも、まだ着られるなら再利用の道があります。
譲り先や寄付先がなければ、自治体の資源回収やごみ収集を利用する方法が基本です。
家族や知人へ譲るなら希望を確認する
状態が良い服は、家族や親戚、知人へ譲る方法があります。
ただし、まだ着られるからといって、相手が欲しいとは限りません。サイズや好み、保管場所の問題もあります。
「母が使っていたコートだけど、欲しければ譲るよ」というように、相手が断りやすい伝え方をするとよいでしょう。
形見分けの際も、同じ考え方です。思い入れのある品物を無理に受け取ってもらう必要はありません。
譲る前には、汚れや傷みを確認し、必要に応じて洗濯やクリーニングを行います。
また、相続人が複数いる場合は、譲ってよい品物か確認しておきましょう。
寄付は受け入れ条件と送料を調べる
まだ使える服を捨てたくない場合、衣類の寄付を考える人もいるでしょう。
寄付は再利用につながる方法ですが、どのような服でも受け付けてもらえるわけではありません。
受け入れ先によって、衣類の状態、季節、種類、サイズなどに条件が設けられています。着用済みの下着、汚れた衣類、傷みのある服などは受け入れ対象外となることがあります。
また、宅配で寄付する場合、送料や事務手数料が必要になるケースもあります。
大量の衣類を寄付するために高額な送料を負担するより、近くの回収場所を利用する方が合理的な場合もあるでしょう。
寄付先を決める前に、受け入れ条件・送付方法・費用・回収後の用途を確認してください。
自治体の古着回収を利用できる
一般的な衣類を手放す場合、最初に確認したいのが自治体の古着回収や資源回収です。
自治体によっては、衣類を資源物として回収し、再利用や再資源化につなげる仕組みがあります。
ただし、回収対象は全国共通ではありません。
例えば、札幌市の古着回収では、洗濯済みで再利用できる衣類を対象とし、下着や靴下などは対象外としています。一方、ほかの自治体では下着類を回収対象に含めている例もあります。
着物やダウンジャケット、革製の衣類なども、自治体ごとに取扱いが異なります。
そのため、親の服が残っている市区町村の公式サイトで、「自治体名+古着回収」「自治体名+衣類の分別」などを確認してください。
回収日、持ち込み場所、袋の指定、回収できない品目まで調べておくと、出し直しを防ぎやすくなります。
傷んだ服や下着はどう処分する?
汚れが落ちない服、破れた衣類、長く使用した下着などは、再利用に向かないことがあります。
こうした衣類は、自治体の分別ルールに従って処分するのが基本です。
ただし、「衣類はすべて燃えるごみ」とは限りません。古布として回収されるものと、一般ごみとして出すものが分けられている自治体もあります。
また、衣類が濡れていると資源回収できない場合があります。古着回収を利用するときは、洗濯や乾燥の条件も確認しましょう。
個人名が記載された制服や、連絡先が入った衣類などは、個人情報が残らないよう配慮することも大切です。
一般衣類を処分するときの基本方針
まだ使える服は自治体の古着回収や再利用を検討し、回収対象外の衣類は地域の分別ルールに従って処分しましょう。売れる見込みが低い衣類を、無理に買取業者へ持ち込む必要はありません。
亡くなった人の服に供養は必要?
親の服を手放すとき、「そのまま捨てるのは申し訳ない」「供養してから処分した方がよいのでは」と感じる場合があります。
供養は必ず行うものではなく、宗教的な考え方や家族の意向によって選べます。
衣類の供養は法律上の義務ではない
亡くなった人の服を処分する際、必ず寺院などで供養しなければならないという一般的な法律上の義務はありません。
通常の衣類であれば、自治体のルールに従って処分する方法もあります。
供養しなかったからといって、法律違反になるわけではありません。
また、すべての衣類を供養する必要があるという共通の宗教的決まりがあるわけでもありません。宗教や地域の慣習によって考え方は異なります。
親の服を捨てることに抵抗がなければ、通常の処分方法を選んで構いません。逆に、供養することで気持ちに区切りを付けたいなら、それも一つの選択肢です。
気持ちの区切りとして供養する
親が特に大切にしていた服や、どうしても普通のごみとして出しにくい衣類については、供養やお焚き上げを相談する方法があります。
寺院や供養サービスなどで受け付けている場合がありますが、衣類の種類や量、費用、受付方法はそれぞれ異なります。
特に、お焚き上げは燃やせる物が限定されることがあります。化学繊維や金属部品のある衣類などは、受け入れられない可能性もあるため確認が必要です。
自宅で衣類を燃やすことは、火災や廃棄物処理の問題につながるため避けてください。
供養サービスを利用することだけが故人を大切にする方法ではありません。親の好きだった服を一着残す、服を手に取って思い出を振り返る、といった方法もあります。
供養するかどうかは、家族が納得できる方法を選べばよいでしょう。
兄弟姉妹と意見が違うときは?
親の服は、家族によって思い入れが異なります。
自分には不要に思える服でも、兄弟姉妹にとっては大切な思い出かもしれません。処分の前に、家族の考えを確認しておくことが大切です。
捨てる前に形見を選ぶ機会を作る
兄弟姉妹がいる場合、親の衣類を処分する前に、欲しいものがないか確認する機会を設けましょう。
全員が実家に集まれるなら、衣類を見ながら形見を選ぶ方法があります。
遠方に住んでいる家族には、残っている服の写真を送って確認してもらう方法も便利です。
その際、「今週中に返事がなければ全部捨てる」と一方的に決めるのではなく、片付けの事情や期限を共有して、無理のない回答日を相談するとよいでしょう。
特に思い入れのある服については、誰が希望しているのか記録しておくと、後から確認しやすくなります。
同じ服を複数人が欲しい場合は、すぐに決めず、家族で話し合うことをおすすめします。
保管する人と費用も決めておく
親の服を残したい人がいても、保管する場所がないという問題は起こります。
例えば、長女は母親の着物を残したいけれど、実家を片付ける次男には置き場所がない、といったケースです。
その場合は、服を残したい人が引き取れるか、別の場所で保管できるかを相談しましょう。
保管場所を借りる場合は、その費用を誰が負担するかも確認が必要です。
また、着物など財産的価値のある衣類については、保管を希望する人がいるからといって、相続上の扱いまで自動的に決まるわけではありません。
相続財産に関する争いがある場合は、形見分けと遺産分割を混同しないよう注意しましょう。
家族の意向が確認できない場合
兄弟姉妹と連絡が取れない場合や、処分への同意が得られない場合は、判断を急がない方がよい品物があります。
特に高価な衣類、思い出の品、誰かが引き取りを希望している服は、いったん保管を検討してください。
一方、実家の退去期限などで保管が難しい場合は、残す衣類の量、移動先、費用負担について現実的な方法を話し合う必要があります。
相続人の間で財産の扱いについて対立している場合は、一人で解決しようとせず、弁護士などに相談する方法があります。
親の服の片付けをきっかけに家族関係が悪化しないよう、処分する前に意向を確認することを基本にしたいところです。
大量の服はどう片付ければよい?
実家のタンスや押し入れに大量の服が残っている場合、すべてを一度に片付けようとすると負担が大きくなります。
作業する範囲と順番を決め、必要なら一部を業者へ頼む方法も検討しましょう。
タンス一段ずつ進める方法
大量の服を片付けるときは、部屋全体ではなく、小さな範囲から始める方法が向いています。
例えば、今日はタンスの一段、次回はクローゼットの上段、その次は押し入れというように、作業範囲を限定します。
取り出した服を一度に広げすぎると、途中で作業を終えにくくなります。特に一人で実家を片付ける場合は、作業が終わった部分を元の状態に戻せる量にするとよいでしょう。
また、片付ける場所ごとに「残す」「売る」「処分する」「保留する」の箱や袋を用意しておくと、仕分けた衣類が混ざりにくくなります。譲る服は、行き先が決まってから別にまとめても構いません。
作業時間も、自分の体力や予定に合わせて決めてください。
衣類は意外にかさばります。大量の服を高い場所から取り出したり、重い袋を運んだりするときは、転倒や腰への負担にも注意が必要です。
大量の衣類は自治体へ確認する
衣類を大量に処分する場合は、一度にごみ集積所へ出してよいかも確認しましょう。
自治体によっては、引っ越しや遺品整理などで出る大量の家庭ごみを、通常の集積所で一度に収集できない場合があります。
その場合は、自治体の処理施設へ自分で持ち込む方法や、自治体が案内する許可業者へ依頼する方法などを検討します。
ただし、自己搬入の受付日時や手数料、持ち込める品目は地域によって異なります。
まずは実家の所在地を管轄する市区町村のごみ担当窓口で、「遺品整理で衣類が大量に出る」と伝え、適切な方法を確認してください。
自分で難しい場合は業者も検討する
実家に大量の衣類があり、一人では運び出せない場合や、遠方に住んでいて何度も通えない場合は、遺品整理業者へ依頼する方法があります。
ただし、業者にすべてを任せる前に、形見として残す服や貴重品は家族で確認しておきたいところです。
業者によって、衣類の仕分け、梱包、搬出、買取、清掃などの対応範囲が異なります。
また、家庭から出る不要物の収集運搬には、市区町村の一般廃棄物処理業の許可や委託など、適切な処理体制が必要です。
見積もりでは、作業内容、処分方法、追加料金、キャンセル条件を確認してください。国民生活センターも、複数の事業者から見積もりを取り、残す品物と処分する品物を明確に分けるよう注意を促しています。
依頼する場合でも、最初から全部処分してもらう必要はありません。仕分けや搬出など、家族だけでは難しい部分に限って頼む方法もあります。
◆親のあとさき編集部のワンポイントアドバイス
服だけを片付けるなら、まず自治体の回収方法を確認する方が費用を抑えやすい場合があります。家具や家電を含めて実家全体を片付ける必要があるときに、遺品整理業者の利用を検討するとよいでしょう。
親の服を手放す前のよくある疑問
亡くなった親の衣類を片付けるときに、迷いやすい疑問をまとめました。
遺品の衣類に関するよくある質問
Q1. 亡くなった親の服は捨ててもいいですか?
A. 亡くなった親の服を必ず残さなければならないという一般的な法律上の義務はありません。ただし、相続人が複数いる場合や相続放棄を検討している場合は、処分前に確認が必要です。思い出のある服は、無理に捨てずに形見として残しても構いません。
Q2. 親の服を捨てられないときはどうすればいいですか?
A. 無理に処分する必要はありません。判断できない服を保留箱に入れ、時間を置いて見直す方法があります。形見として残したい服を選び、それ以外の衣類から少しずつ片付けてもよいでしょう。保管が難しい場合は、写真を残す方法もあります。
Q3. 古い着物やブランド服は買い取ってもらえますか?
A. 買取対象になる場合があります。ただし、着物の種類、ブランド、状態、需要、業者の取扱条件によって査定結果は異なります。古い着物だから高く売れるとは限りません。事前に対象品目と査定条件を確認してください。
Q4. 亡くなった人の服は供養してから捨てるべきですか?
A. 衣類の供養は一般的な法律上の義務ではありません。自治体の分別ルールに従って処分する方法もあります。親が大切にしていた服をそのまま手放しにくい場合は、寺院などに供養を相談する方法もありますが、必ず利用する必要はありません。
Q5. 四十九日前に親の服を処分してもいいですか?
A. 四十九日前の衣類の処分を一律に禁止する法律はありません。ただし、宗教や家族の慣習によって考え方は異なります。急ぐ事情がなければ、家族と相談して時期を決めて構いません。賃貸住宅の退去など期限がある場合は、必要な服を確保してから片付けを進める方法があります。
まとめ|親の服は急いで捨てなくてよい
亡くなった親の服は、すべてを残す必要も、急いですべて処分する必要もありません。
思い出のある服は形見として残し、着物やブランド服などは売却を検討する。再利用できる服は譲る・寄付する方法を探し、一般的な衣類は自治体のルールに従って処分する。判断できない服はいったん保留する。
このように行き先を分ければ、最初からすべての服を捨てるかどうか決める必要はありません。
まずは次の3つから始めてみてください。
- 思い出があり、形見として残したい服を選ぶ
- 着物やブランド服と一般的な衣類を分ける
- 迷う服は保留し、家族の意向を確認する
大量の衣類が残っていても、焦って作業を進める必要はありません。ただし、退去期限や相続上の問題がある場合は、必要な確認を先に済ませましょう。
また、着物や高級衣類など売却できそうな品物がある場合は、品物に合った買取先で査定を受ける方法もあります。査定額を確認してから、売るか残すか判断しても構いません。
親の服を片付ける目的は、すべてを捨てることではありません。家族が納得できる形で、これからの暮らしに合った残し方や手放し方を選ぶことです。
参考にした一次情報
法律と衣類の回収制度に関する記述は、以下の公的情報を参考にしています。個別の自治体の分別ルールや買取条件は、実際に利用する際に最新情報を確認してください。
制度情報の確認日:2026年10月18日
次に読む記事
衣類以外にも実家に遺品が残っている場合は、次の記事も参考にしてください。
